学習塾費の「平均」は鵜呑みにできない。文科省調査から0円世帯を除くと数字はここまで変わる

公的資料とグラフを机の上で読み込んでいるイラスト 子どもの成績

この記事でわかること

  • 幼稚園から高等学校(全日制)までの学習費総額が、公立と私立で年額いくら違うか
  • 学校外活動費のうち勉強に使う「補助学習費」が、学年とともにどう増えるか
  • 学習塾費の学校種別の年額と、中学校では公立が私立を上回るという事実
  • 支出0円の家庭を含む平均額と、支出している家庭だけの平均額がどれだけ離れているか
  • 学習塾費が0円の家庭が、各学校種でどれくらいの割合を占めるか

この記事は、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」結果の概要を読み、学校種別・学年別の学習費と学習塾費を表に整理したものです。

掲載した数値はすべて同調査(令和8年1月16日差替)の公表値です。推計や概算、他の資料からの補足は入れていません。

学習費総額は、学校種と公私でここまで違う

学習費総額は、学校教育費・学校給食費・学校外活動費を合計した1年間の金額です。まず学校種別に、公立と私立を並べます。

学校種 公立(年額) 私立(年額) 公私比率
幼稚園 184,646円 347,338円 1:1.9
小学校 366,599円 1,741,516円 1:4.8
中学校 542,450円 1,560,359円 1:2.9
高等学校(全日制) 596,954円 1,179,261円 1:2.0

公私の差が大きく開くのは小学校で、公私比率は1対4.8です。高等学校(全日制)は1対2.0で、4つの学校種のなかでは差が小さい方になります。

公立だけを並べると、幼稚園184,646円、小学校366,599円、中学校542,450円、高等学校(全日制)596,954円と、学校段階が上がるにつれて増えます。

私立は順序が違います。小学校の1,741,516円が中学校の1,560,359円を上回り、高等学校(全日制)は1,179,261円で、この3つのなかでは小さい金額です。

出典と読み方

この表は同調査の表1「学校種別 学習費総額」の公表値です。学習費総額は、学校教育費・学校給食費・学校外活動費を合計した1年あたりの金額を指します。

出典: 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」結果の概要(令和8年1月16日差替)表1

同じ学習費総額でも、中身の構成は公私で違います。公立小学校と公立中学校では、学校外活動費が総額の60%以上を占めます。

一方、私立中学校と私立高等学校(全日制)では、学校教育費が70%を超えます。私立は学校に納める費用そのものが総額を押し上げる形です。

つまり公立では学校の外に出ていくお金が総額の大半を占め、私立では学校に納めるお金が大半を占める、という違いがあります。

  • 公私比率は小学校で1対4.8、高等学校(全日制)で1対2.0と、学校種によって開き方が違う
  • 公立は学校段階が上がるほど学習費総額が増え、私立は小学校が中学校を上回る
  • 公立小・公立中は学校外活動費が60%以上、私立中・私立高(全日制)は学校教育費が70%超

学習費総額はいずれも1年間の金額です。在学期間の累計額ではないため、6年分・3年分の総額と混同しないようにしてください。

学校外活動費のうち「勉強に使う分」は学年で逆転する

学校外活動費は、勉強に使う「補助学習費」と、それ以外の「その他の学校外活動費」に分かれます。まず公立の平均を見ます。

区分(公立) 学校外活動費 合計 補助学習費 その他の学校外活動費
幼稚園 平均 100,049円 33,644円(33.6%) 66,405円(66.4%)
小学校 平均 256,489円 112,485円(43.9%) 144,004円(56.1%)
中学校 平均 356,018円 271,574円(76.3%) 84,444円(23.7%)

公立幼稚園と公立小学校の平均では、その他の学校外活動費のほうが補助学習費より多くなっています。公立中学校では比率が入れ替わり、補助学習費が76.3%を占めます。

ただし小学校の平均には、学年ごとの差が隠れています。公立小学校を学年別に開くと次のようになります。

公立小学校 学校外活動費 合計 補助学習費 補助学習費の構成比
第1学年 216,850円 80,572円 37.2%
第2学年 211,919円 65,947円 31.1%
第3学年 230,993円 76,470円 33.1%
第4学年 271,274円 116,753円 43.0%
第5学年 295,538円 143,318円 48.5%
第6学年 307,345円 186,559円 60.7%

第2学年でいったん下がり、第3学年から再び増えます。第4学年で補助学習費が116,753円となり、以降は学年が上がるごとに金額も構成比も上がります。

第6学年では補助学習費が186,559円、構成比60.7%となり、その他の学校外活動費を上回ります。

出典と読み方

学年別の内訳は同調査の表5「学年別 学校外活動費」によります。補助学習費は家庭内学習や学習塾など勉強に関わる支出、その他の学校外活動費はそれ以外の習い事などの支出を指します。

出典: 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」結果の概要(令和8年1月16日差替)表5

私立でも同じ表から学年別の数値が示されています。私立小学校と私立中学校を抜き出します。

区分(私立) 学校外活動費 合計 補助学習費 補助学習費の構成比
私立小学校 平均 709,667円 366,436円 51.6%
私立小学校 第6学年 891,409円 595,670円 66.8%
私立中学校 平均 422,981円 236,986円 56.0%

私立小学校の第6学年では学校外活動費が891,409円、うち補助学習費が595,670円で66.8%を占めます。私立小学校の平均51.6%より高い比率です。

調査の概要では、公立は小学校第6学年以降、私立は小学校第4学年以降で、補助学習費の割合がその他の学校外活動費を上回る傾向があるとされています。

また男女別では、その他の学校外活動費は女子のほうが多いとされています。

  • 公立小学校の補助学習費は第2学年でいったん下がり、第4学年から増え方が変わる
  • 公立小学校第6学年で補助学習費が60.7%となり、その他の学校外活動費を上回る
  • 逆転が起きる時期は公立が小学校第6学年以降、私立が小学校第4学年以降

補助学習費は学習塾費だけの金額ではありません。勉強に関わる支出をまとめた区分なので、補助学習費イコール塾代として読まないでください。

学年別の学習塾費。上がり方には段差がある

ここからは補助学習費の中から学習塾費だけを取り出します。次の金額は、塾に通っていない支出0円の家庭も含めた平均です。

学校種 公立(年額) 私立(年額)
幼稚園 約1万4千円 約2万5千円
小学校 約7万5千円 約25万9千円
中学校 約23万円 約16万8千円
高等学校(全日制) 約14万7千円 約16万7千円

中学校では、私立より公立のほうが学習塾費が多くなっています。幼稚園・小学校・高等学校(全日制)では、公立より私立が多い関係です。

学年別については、私立小学校と私立中学校を除き、学年とともに学習塾費が多くなるとされています。公立・私立を通じて金額が大きいのは私立小学校第6学年で、約44万3千円です。

増え方の段差は、前の章で見た公立小学校の補助学習費の推移にも表れています。

第3学年の76,470円から第4学年の116,753円へ、さらに第5学年143,318円、第6学年186,559円と続きます。

出典と読み方

学習塾費の学校種別の金額と、学年別の傾向は同調査の学習塾費に関する集計によります。学年別の補助学習費は表5の公表値です。

出典: 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」結果の概要(令和8年1月16日差替)表5および学習塾費の集計

  • 学習塾費は公立中学校で約23万円、私立中学校で約16万8千円と、中学校だけ公私が逆転する
  • 私立小学校と私立中学校を除き、学年とともに学習塾費が多くなる
  • 公私を通じて金額が大きいのは私立小学校第6学年の約44万3千円

結果の概要で金額が示されている学年別の学習塾費は、私立小学校第6学年の約44万3千円です。他の学年ごとの塾費の金額はこの記事では扱っていません。

「平均」と「払っている家庭の平均」は別物です

ここが本記事の核心です。前章の学習塾費は、塾代を1円も払っていない家庭を0円として含めた平均でした。

調査では、学習塾費を支出している家庭だけに限った平均額も公表されています。両者を並べます。

区分 平均(0円の家庭を含む) 支出者平均 0円の割合
幼稚園 公立 約1万4千円 約8万4千円 83.1%
幼稚園 私立 約2万5千円 約12万3千円 79.5%
小学校 公立 約7万5千円 約19万3千円 61.0%
小学校 私立 約25万9千円 約36万1千円 28.1%
中学校 公立 約23万円 約34万9千円 34.0%
中学校 私立 約16万8千円 約32万8千円 48.8%
高等学校(全日制)公立 約14万7千円 約38万1千円 61.4%
高等学校(全日制)私立 約16万7千円 約44万4千円 62.4%

公立高等学校(全日制)を見ると、0円を含む平均は約14万7千円ですが、支出者平均は約38万1千円です。0円の家庭が61.4%を占めるため、平均が下に引かれています。

公立幼稚園も同じ構造です。0円の割合が83.1%で、平均は約1万4千円、支出者平均は約8万4千円となります。

逆に0円の割合が28.1%と低い私立小学校では、平均約25万9千円と支出者平均約36万1千円の開きが、他の区分より小さくなっています。

出典と読み方

0円の割合と支出者平均は、同調査の表8-2「学習塾費の金額分布」によります。支出者平均は、学習塾費を支出している家庭だけを分母にした平均額です。

出典: 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」結果の概要(令和8年1月16日差替)表8-2

中学校の公私逆転も、この2つの平均を並べると見え方が変わります。0円を含む平均では公立約23万円、私立約16万8千円と差がつきます。

ところが支出者平均では公立約34万9千円、私立約32万8千円で、差は小さくなります。0円の割合が公立34.0%、私立48.8%と違うことが平均に効いています。

  • 報道などで見る学習塾費の平均は、支出0円の家庭を含めた金額であることが多い
  • 0円の割合が高い区分ほど、平均と支出者平均の差が大きくなる
  • 中学校の公私逆転は、支出者平均で比べると差が縮む

支出者平均は、塾に通わせている家庭だけの平均です。自分の家が塾を利用する前提なら、0円を含む平均ではなく支出者平均のほうが近い目安になります。

塾代を払っていない家庭は、実は少なくない

最後に、学習塾費が0円だった家庭の割合だけを取り出します。ここが平均額の読み方を左右する部分です。

学校種 公立で0円の割合 私立で0円の割合
幼稚園 83.1% 79.5%
小学校 61.0% 28.1%
中学校 34.0% 48.8%
高等学校(全日制) 61.4% 62.4%

公立小学校61.0%、公立高等学校(全日制)61.4%、私立高等学校(全日制)62.4%と、6割を超える区分が並びます。塾代を払っていない家庭は少数派ではありません。

0円の割合が低いのは私立小学校の28.1%です。中学校は公立34.0%、私立48.8%で、公立のほうが塾を利用している家庭の割合が高い形になります。

一方で、支出している家庭の中では高い階級に人数が集まっています。

私立小学校、公立・私立の中学校、公立・私立の高等学校(全日制)では、40万円以上の階級がそれぞれ最も高い割合です。

出典と読み方

0円の割合と金額階級の分布は、同調査の表8-2「学習塾費の金額分布(%)と支出者平均」によります。金額分布は、年額をいくつかの階級に区切って家庭の割合を示したものです。

出典: 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」結果の概要(令和8年1月16日差替)表8-2

  • 公立小・公立高・私立高(全日制)では、学習塾費0円の家庭が6割を超える
  • 0円の割合が低いのは私立小学校の28.1%
  • 支出している家庭では、私立小・公私の中学校・公私の高校(全日制)で40万円以上の階級が最も高い

この分野でよく聞かれること

Q. 塾代はいつごろから増えますか

公立小学校の学年別の補助学習費で見ると、第3学年の76,470円から第4学年の116,753円へと増え、以降も第5学年143,318円、第6学年186,559円と続きます。

構成比でも第4学年で43.0%となり、第6学年には60.7%まで上がります。私立では小学校第4学年以降に補助学習費がその他の学校外活動費を上回る傾向があるとされています。

Q. 公立中学校の塾代が私立中学校より高いのはなぜですか

結果の概要には、公立中学校が約23万円、私立中学校が約16万8千円という金額と、中学校では私立より公立のほうが学習塾費が多いという事実が示されています。

理由の説明はこの資料にはありません。

分布から読めるのは、学習塾費が0円の割合が公立34.0%、私立48.8%と違うこと、支出者平均では公立約34万9千円、私立約32万8千円と差が縮むことです。

この記事では、資料に書かれていない理由の推測は行いません。

Q. 平均額をそのまま自分の家に当てはめてよいですか

学習塾費の平均額は、塾代を払っていない家庭を0円として含めた金額です。塾に通わせる前提で予算を考えるなら、支出者平均のほうが近い数字になります。

たとえば公立高等学校(全日制)は、0円を含む平均が約14万7千円、支出者平均が約38万1千円です。どちらを見るかで印象が大きく変わります。

Q. 高校に入ると何が変わりますか

学習費総額は公立596,954円、私立1,179,261円で、公私比率は1対2.0です。学習塾費は0円を含む平均で公立約14万7千円、私立約16万7千円となります。

一方で学習塾費が0円の家庭は公立61.4%、私立62.4%と6割を超え、支出者平均は公立約38万1千円、私立約44万4千円です。

払う家庭と払わない家庭に分かれる形が数字に表れています。

Q. この調査は何年おきに行われていますか

この記事が参照したのは令和5年度の結果の概要(令和8年1月16日差替)です。調査の実施間隔については、この概要から確認した事実がないため本記事では書きません。

実施年度や次回の公表予定は、文部科学省の公式サイトで確認してください。数値も差替が行われることがあるため、引用する際は最新の公表版を確認することをおすすめします。

まとめ

学習費と学習塾費は、学校種・公私・学年の3つで金額が変わります。そして平均額は、塾代0円の家庭を含むかどうかで見え方が大きく変わります。

  • 学習費総額の公私比率は幼稚園1対1.9、小学校1対4.8、中学校1対2.9、高等学校(全日制)1対2.0
  • 公立小学校の補助学習費は第4学年から増え方が変わり、第6学年で構成比60.7%に達する
  • 学習塾費は中学校だけ公立(約23万円)が私立(約16万8千円)を上回る
  • 0円を含む平均と支出者平均は別物で、公立高(全日制)では約14万7千円と約38万1千円の差がある

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この記事を書いた人

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